火曜日嫌い

やまもとのブログです。

神保町花月 チャレンジ2DAYS『君と踊りたい』

脚本・佐久間トーボ
演出・大谷ノブ彦(ダイノジ)
出演・げんき〜ず、BANBANBAN、catch!、バウンサー、
   パンプキンズ、わくわく村、岩丸夏子
   大地洋介(ダイノジ)


君徒踊李隊」を中心に、普段イベントで結束を固めたメンバーによるチャレンジ2DAYS。
恐らくアテ書きされたキャラクターとメンバーの真摯で熱いお芝居、
そこに再現ドラマなどに良く出ている芸達者なパンプキンズが絡んで、
チャレンジ2DAYSにしておくにはもったいない内容になっていたと思う。
筋書きに無理のある部分は多々あれど、そこを補って余りある情熱と勢い。
まさかあんなに号泣するとは思っても見ませんでした。
以下登場人物とあらすじ(と言うには長すぎるストーリー紹介)

  • 松崎豊(BANBANBAN鮫島)

 島に住む青年。漁師。
 サザンオールスターズが大好きで、常にハッピを着ている。
 「女は90キロからだ」と断言するほどのデブ専だが本人に自覚はない。28才。

 島に住む青年。元気が良い。豊と同じくデブ専。28才。

  • 堂本滋(わくわく村フランケン)

 村長の孫。ぴっちりした七三分けでスーツ姿、アームカバーをしている。
 役所に勤めており、パソコンやインターネットに詳しい。

  • 玉置金太郎(げんき〜ずウノケン)

 小学校3年生の時に転校してしまった、和哉と豊の同級生。当時のあだ名は「きんちゃん」。「たまきん」と呼ぶと怒る。
 現在は東京のテレビ局・極東テレビのディレクター。島で拾った「ギン」という犬を飼っている。28才。

 空豆島の村長。

  • 田所隆弘(わくわく村チョビン)

 オカマ。村民が集まるバー「ポエム」のママ。
 「ポエム」の「ポ」は「ポテンシャル」の「ポ」らしい。
 真っ赤なチャイナドレス・真っ赤なマニキュア・真っ赤なハイヒールという個性的な風貌。

  • 稲畑浩志(catch!ばっしー)

 連絡船の運転手。2日に1度は飲酒運転。

  • 高村剛(ジョニー)(catch!あっしー)

 都市伝説「波乗りジョニー」としてある日突然島に現れた。
 ダンスが上手で、豊たちにダンスを教えている。
 実は売れっ子ダンサーの高村剛。人気番組「ダンスDEスイーツ」のレギュラーを降ろされ、東京から逃げてきた。

  • 奥居エリ(岩丸夏子)

 かつて番組で高村とパートナーを組んでいたダンサー。
 高村が消息を絶ってからは、番組を降りてレポーターをしている。27歳。

  • コーン(バウンサーレオ)

 その昔一世を風靡したスター。今は落ちぶれ、現在の月収はファミリーマートに週3のシフトで7万円。
 ファミリーマートを「家族の絆」、ローソンを「青と白の調和」といった言い回しが特徴。
 妻子がいるが離婚。慰謝料を払い続けている。

  • 中柳(バウンサー斎藤)

 極東テレビのAD。少年時代からコーンのファン。
 コーンにまた表舞台に返り咲いて欲しいと思っている。

  • 森高香織(パンプキンズ伊地知)

 お見合い企画で空豆島にやってきた。29歳。ぽっちゃり。後に豊と結婚する。

  • 田辺美里(パンプキンズ蘇我)

 お見合い企画で空豆島にやってきた。23歳。ぽっちゃり。後に和哉と結婚する。

 謎のサーファー。


どこかの地方の、とある島、空豆島。
総面積は9.31平方?、総人口は376人。
年間降水量は3000mlで、平均寿命は98才。
唯一の特産物は「ミナロン」という異臭を放つフルーツ。
島出身の有名人は、前頭六枚目の力士「空の豆」と、FMとちぎパーソナリティーのミナロン高橋。
慢性的な嫁不足で、どこの家も跡継ぎ不在に悩んでいる。


そんな「何もない」島で、豊と和哉は毎日を過ごしていた。
最近の楽しみは「ジョニーさん」にダンスを教えてもらうこと。
ジョニーさんは、1年前にこの島に現れた。
「金色の髪に獣の革を纏い、胸に十字の刻印あり」と噂される「波乗りジョニー」の都市伝説通りの姿をしたその人は、
ダンスがとても上手くて、2人にダンスを教えてくれていた。


ある日、役所勤めの滋がYouTubeにアップした2人のダンス動画を見たテレビ局から、
お見合い企画で島へ女性を連れてやってくるという連絡があった。
村長と、村のご意見番である田所は断るように進言するが、2人は大興奮。
いよいよやってきたテレビクルー。浮き足立つ村民だが、ジョニーさんは姿を眩ましてしまった。
MCのコーン、レポーターのエリ。ADの中柳と、ディレクターの玉置。
玉置は、かつてこの島で生活しており、豊と和哉の同級生だった。
玉置が突然現れたことに動揺する村長。どうやら2人の間には何か因縁があるらしい。
お見合い要員の女性は、ぽっちゃりと言うにはちょっとボリュームのある二人。滋はドン引き、豊と和哉はドンピシャ。

撮影は次の日から、と言う玉置。
歓迎の宴会の席でダンスを披露する。少年時代の思い出話に花を咲かせ、酒を酌み交わす3人。
ADの中柳も、血液型が同じだった、とすぐに打ち解けた。
そろそろお開き、となった時、玉置が2人に問う。
「お前ら、この島、好きか?」


ジョニーはエリと出会う。
ジョニーは、実は人気ダンサー高村剛で、かつてエリとコンビを組んで踊っていた。
番組を降ろされ、行方を眩ましていたのだった。
東京に戻ってまた一緒に踊ろう、と言うエリだが、高村は頷かない。


翌日、撮影が開始される。
ところが、玉置は豊たちのシーンを全て台本通りに進行させようとする。
台本には2人が女性に振られるまでがすべて描かれており、しかも村長が企業から裏金を受け取っていたとの記述まで。
玉置は、その昔に村のレジャー開発のために訪れた父親が事業に失敗し、村民への説明会で父親へ罵声を浴びせた村長を
激しく憎んでいた。その後東京に戻った父親はリストラにあい、倉庫で自殺した。
その仕返しに村へとやってきたのだった。土下座して謝る村長だが、玉置は許そうとしない。
ディレクターである権限を振りかざし、エリやコーン、中柳に撮影を続行させようとする玉置。
事実を知らされなかったことに激高する滋。玉置の態度に戸惑う豊と和哉。
そこへ高村がやって来る。玉置は、撮影と引き換えに高村が番組降板の顛末を自ら語ることで、手を打つと言い出す。


コーンへ、お前はもう落ちぶれた必要とされていない人間だと告げる玉置。
かつて一斉を風靡したコーンは、現在はコンビニでアルバイトをしながら別れた妻へ慰謝料を払い続ける日々。
1人娘は、父親がおかしな言葉遣いをする売れないタレントだと、学校で苛められているという。
弱音を吐くコーン。
それを聞いた中柳は、少年時代からコーンに憧れていたことを語り出す。
「胸張れよ!」とコーンに檄を飛ばす。
自分達裏方は、スターが堂々と胸を張っていてこそ仕事が出来るのだと。
田所は、40年前にこの島へ辿り着いた頃の話を始める。
オカマと罵られ、居場所を亡くし、死ぬためにこの島へやって来たこと。
しかし島民の暖かさに触れ、こうして生きていること。
「必要とされていない人間なんていない」
田所の言葉に、気持ちを新たにするコーン。


玉置は、島民に金を渡して虚偽の証言を取っていた。
土下座して謝罪する村長だが、玉置は許そうとしない。


そこへ、豊が一通の手紙を玉置に渡す。
それは島から離れていった玉置の父親が、村長に宛てて書いたものだった。
暖かく迎えてくれたことへの感謝、事業が失敗したことへのお詫び、
東京に戻ってから始めた新事業の失敗が元で会社をリストラされたこと、
この手紙を読む頃、自分はもうこの世にはいないこと、息子の金太郎のこと。
「金太郎をなんとかしてやってくれ」と。
父親は村長を憎んでなどいなかった。島の事業の失敗が、父を追い詰めたのではなかった。
しかも、金太郎の大学の学費を払っていたのは、村長だった。
事実を知り、泣き崩れる金太郎。
中柳が「東京に戻って、また一緒に番組作りましょう」と声を掛ける。


豊と和哉が踊り始める。
いつしか高村とエリも加わり、往年のゴールデンコンビが復活したよう。
滋も、女の子達も、村長と田所も、コーンと中柳も、そして金太郎も。
全員のダンスが島の夜を明るく照らす。


それからしばらくして。
金太郎が撮ったドキュメンタリーによって村の知名度は一気に上がり、観光客も増えた。来週にはホテルが建つ。
「ミナロン」が東京のOLの間で大ヘルシーなフルーツとして流行し、田所が「ミナロン大使」として東京へ出向くことになった。
そしてコーンが出した本が20万部の大ヒット。
「コーン語」と、1ページごとに血液型占いなどが書かれたその本のヒットで、コーンは見事に再ブレイクを果たした。
豊と和哉はそれぞれ森高と田辺を娶り、相変わらずダンスばかりしている。
女性たちはすっかり村に馴染み、遊んでばかりの亭主に手を焼いているが幸せそう。


…海岸に一人の男。「金色の髪に獣の革(豹柄のベスト)を纏い、胸に10時(アナログ時計)の刻印」の…
波乗りジョニー!?」「溜池五郎です」「誰!?」

まとめたら一番いいシーンがすごい陳腐になっちゃった…
開演時間に少し遅れたので、冒頭の3人が海岸で何やかんやしているシーンはほとんど見れず…
金太郎が父親の手紙を読むシーン、宇野君が感情のリミッターが崩壊しちゃったんじゃないかってぐらいの凄まじさで、
手紙を握り締めながら涙声で父親の言葉を口にする姿に、こちらもたまらず号泣。
長台詞ばかりで、裏表のある役だったから宇野君の印象が一番強いけど、
全員すばらしかった。
どうしてもずっと(ってほどでもないけど)成り立ちを見ているので、どうしても親戚のおばちゃんのような目線になってしまう。


高村とエリがコンビを組んでいた番組は「ダンスDEスイーツ」
2人が踊りながらスイーツを作る番組。「それって、小柳ルミ子と大杉賢也じゃん!」
21歳?にして27歳の役を務めていた岩丸さん、踊りだすと別人のように美しくなる。


佐久間さんの脚本は、「YOSHIMOTO DIRECTOR'S 100」の大谷監督作品『Air Guitar?』でもそうだったけど、
打ちのめされた人間への救いを描くのが上手い。
映画ではオオヤの。今回は金太郎であり、高村であり、コーンであり。
コーンが後に出した本に血液型占いが書かれているっていうのも、きっと中柳が出版に関わってるんだろうなーとか、
描かれていない部分を空想するのがすごく楽しい。


やっぱりこういう全員が救われるストーリーはいいね。
唯一、滋だけが回収されずに残っちゃった感じなので、滋も次期村長としての自覚に目覚める、とかの場面があったら良かったな


パンプキンズが本当に勘弁してくださいってぐらいいい味出してて面白くて、
ドラム缶風呂に入ったら体がハマッちゃって、首しか引っ張るところないからずっと首を引っ張ってたら体の側面だけ擦りむいたとか、
しかもそれをタオルで濡れた髪をまとめた状態で言ってたり、苛めてくる滋に向かって「ふぁっく、ゆぅー!!」っていうのとか、
もうとにかくパンプキンズさん最高でした。


ラストの大オチで大地君が全部持ってっちゃった。
あれはズルい!www

良かった。
行った甲斐がありました。
お疲れさまでした。


神保町花月 楽屋裏ブログ: 【チャレンジ2DAYS『君と踊りたい』楽屋裏ブログ】
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