火曜日嫌い

やまもとのブログです。

怒髪天「4.12 春の陣“スプリング・ファイト 労働戦士決起集会”」@渋谷AX

どでかい真っ赤な☆が鎮座し、作業服姿のスタッフが「党員バッジでーす!」と声を上げる…
すわストライキか暴動か!といった空気の春のAX。
怒髪天のAXは雪、もしくは雪、はたまた雪の記憶しかないので、こんな良い陽気の日にワンマンなんて嬉しい限り。
中に入ると党員バッジと同じデザインの旗を渡される。
今日はそういうことですね!と腹を括る。


開演時間が近付き、ステージ奥からこっそり旗を振るように支持される。
照明が落ち、鳴り響くサイレン!一斉に振られる白い旗!
野太い「兄貴ィ〜!!」の声!
そして登場した兄いの一声、「全日本労働戦士党の諸君!よく集まった!」…ここはどこの集会だw


今日は「労働」をテーマに、普段とは違った趣向でやってみたと。
「無職透明」なんてめちゃくちゃ久し振りに聞いたな。
真っ赤になるはずだった特製の「団結」手拭いは、染物屋のおじさんの手違いにより微妙な小豆色に…
「逆にレアですよ!」
「『スプリング・ファイト』って、『春闘』ですからね。
さすがにタイトルに『春闘』ってつけて本気の人に来られても困るんで」
「もはや景気は最悪。頼れるものは己の腕しかない。
定額給付金、いつくれるんでしょうか。早くくれ、毎月くれ!
そしてどこかの国からミサイルだか人工衛星まで飛んでくる始末。
人ん家の庭に勝手なものを飛ばさないでいただきたい!
かと思えば、水嶋ヒ□のミサイルは思いもよらないところに着弾。
あんなに完璧な男を見たことがないので、
俺の想像の中では彼は『箸を逆さに持ってしまう癖がある』ということになっている」
「テレビを見ていると、どうでもいい歌が多過ぎる!
知らないヤツの恋愛感聞かされて、何が『励まされる』だ?
『大丈夫〜自分を信じて〜』なんて歌の、どこに共感できるんだ!」
このMCの間、王子がずっと物悲しいフレーズを奏でてる。
「今の時代には、労働歌がない。先代から伝わるこの歌を」と、岡林信康の「山谷ブルース」
「今日のォ〜…今日の仕事も辛かったァァァ…」
本当に、これは何の集会だw


今日は全員白シャツに黒のボトム姿。
兄いのシャツにはFor Beautiful Human Lifeのプリント、細いネクタイを締めてた
王子は衿や前立ての部分がラインストーンでキラキラしていた。
短めにさっぱりとした髪型に、兄いが「その髪、いいね」
シミはシンプルに。兄いに「ネクタイ買って来いって言ったら、
重役がしてるような太いやつ買って来ちゃって」
「俺は好きだけどね」「今日これで出たら失笑ものだなァと思ったんで、やめさせました」
坂さんは西友でシャツを買ってきました。「タグ見たら“GEORGE”って書いてあった。誰だよ!」
「まーう」「まうじゃないっ!」


王子と兄いは昔同じ現場で働いてて、王子は“職長”で真面目に働いてたんだけど、
「この人、全然働かなくて!」
「一緒にバンドやってたけど、仕事は一緒にしたくないなぁと思いました」
腕を見せて「コレで力あったら物理的におかしいでしょ!?」
「一緒に働いてた女の子が言ってたらしいんだけど、
『上原子さんは本当に偉い。それに比べてあの人は…
サボってばかりで調子のいいことしか言わない』って!
しょうがない、それが俺の仕事だもの!」


王子は「いつもAXは天気に恵まれなくて濡れながら楽屋に入るイメージだったので、
こんないい天気の日にAXでやるのは、なんか変な感じがします」ってw


最後の最後にシミさんの言葉。
「真面目なことはあんまり言いたくないんだけど…本当にありがとうございます、感謝してます」
話してる最中にみるみる目が潤んで、後ろ向いてタオルで涙を拭ってた。
シミさんはたまに落とす言葉がとても真摯で、また言葉少なだからこそその一言が余計に刺さる。


言葉少なくはないけれど、それは兄いも同じで。
「感極まり過ぎちゃって…逆にワンマンやりたくない」
「お客さんの顔が見えないように、今度からマジックミラー立ててやりますから」


春だし、ライブが始まる前から「はじまりのブーツ」が聞きたい!と思っていたので、
アンコールでやってくれてとても嬉しかった!
今日は「働く者と、これから働く者のために、って全員じゃねーかって話ですけど」
「芝居ががった感じで、日常の馬鹿馬鹿しさを、更なる馬鹿馬鹿しさで上塗りしていこうと」
「ちょっと曲順失敗したね、ガクーッと終わって(はじまりのブーツ)テレレテレレって(好キ嫌イ)」


「しんみりした曲で終わるのもいいけど、最後はみんなで酔っ払って終わろう」と、ヘベレケ。
イイ顔したぐちゃぐちゃのお客さんが、腕を伸ばしてボロボロになった旗を懸命に振って最後までずっと笑顔。
「男だけ!」「女性陣!」「働いてないやつ!」「先週10時間以上残業した人!」「彼氏彼女がいない人!」
でヘベレケレレやらせて、
シミとくーって泣き真似して「大丈夫!なんとかなる!」「いざとなったらみんなで南の島で暮らそう!」
最後に「全員で!」♪酔っ払っていられりゃ天国だー!が毎回とてつもなく楽しい。


センターで「みんな、好き!」ぱたぱた走って上手に行って「いっぱい好き!」って、
かわいくてどうしようかと思った。連れて帰りたい。


何度もお辞儀をして、手を振って、客席もそれに応えてなかなか帰ろうとしなかった。
今日もいいライブだった!


1. 労働CALLING
2. 社会人ファイター
3. 喰うために働いて 生きるために唄え!
4. 山谷ブルース(岡林信康
5. ビール・オア・ダイ
6. 無職透明
7. 宿六小唄
8. 俺達は明日を撃つ!
9. よりみち
10. 全人類肯定曲
11. ドンマイ・ビート
12. NO MUSIC, NO LIFE.
13. 酒燃料爆進曲


EN-1-1. はじまりのブーツ
EN-1-2. 好キ嫌イズム
EN-1-3. N・C・T


EN2-11. ヘベレ・ケレレ・ヨー


ワンマンでじっくり見ると、王子の派手かつやりたい放題、しかし抑えるところはきっちり抑えたプレイや、
シミの全てを受け入れてくれそうな柔和な笑顔と土台をしっかり支える低音を堪能できて幸せ。
坂さんがどんどん痩せてくような気がするよ!白内障ってほんとかなあ…?


これは怒髪天に限ったことではないけど、ライブを見ていてあまりにも満たされて、
この世界に私とこの人達さえいれば他に何もいらないんじゃないかと思ってしまう瞬間があって、
その感情が怒髪天を見ている時が一番強く起きているような気がする