火曜日嫌い

やまもとのブログです。

風呂ロック vol.14@吉祥寺・弁天湯 トクマルシューゴ

台風一過のざわざわとした空気の中を吉祥寺へ
会場は「弁天湯」という昔ながらの銭湯
吉祥寺の駅から少し歩くと、若者向けの個性的な店が立ち並ぶ中に忽然と姿を現す昭和の面影
のれんをくぐると木製の傘入れがあって、
おかみさんが使い方を知らない若者の傘を入れてあげてる
靴を脱いで板の間を踏みしめながら中に入ると、後ろに売店があって、正面に番台
「男湯女湯どちらからもお入りいただけま〜す」とのアナウンスがあったけど、
ここは一応女湯の方から入ってみる
(同じことを考えた人が多かったようで、左右の男女比がそれに準じていたように見えた)
すぐ脱衣場があって、引き戸の上にあるすりガラスには鯛や平目や艶っぽい美女が描かれてる
その向こうが本来お風呂である場所、今日のステージ


仕切りが取り外されているから、壁画の富士山がどおんと目に飛び込んでくる
浴槽の上にステージセットを組んでいるようで、とても高い位地にあった
向かいのPAも高いところにある
蛇口も取り外されて、そこにみっしりと150人ぐらいのお客さん
足の裏にタイルの感触、天井が高くて、独特のむっとした熱気
昔、与野駅前の商店街や木崎中のすぐ近くにこんな感じの銭湯があったことを思い出しながら開演を待つ


心なしか暗くなったかな、程度に照明が落とされて、トクマルさんが登場
今日は1stアルバムから順番にやります、ということで「Night piece」に収録されている曲からスタート
トクマルさんの声って口の中でころころ転がっているような音がして、
それがすごく好きなんだけど、
今日はそこにお風呂の天然リバーブがかかってめちゃくちゃ気持ち良かった
トクマルさんも時折天井の方を見上げて、この不思議なシチュエーションを楽しんでいる様子


「お風呂、どうですか」
「けっこう熱気がすごくて…気分悪くなったら言ってくださいね、お風呂用意しますので」
「僕はお風呂で歌うのは初めてなんですが…お風呂で大きい声出すのって幸せですよね。
今とても幸せです…」
「今日は男湯からも女湯からも入れたと思うんですが、やっぱり男の人は男湯側にいるんですかね…
こんな時だから女湯に入ってみたい!って人がこっち(女湯)側にいるんですね」
「…これ以上話すと、あの、じゃ、次の曲」

最初はウクレレを携えて、次いでアコースティックギター
エレキギターと次々に持ちかえる
エレキを掛けながら「前はずっとエレキギターを弾きながら歌ってたんですが、
最近はもっぱらアコギで…」とかなんとか、よく喋る
「kiiro」でループを使って音を重ねながらひとつにまとめていたのが圧巻で、
手元に見入って、音に聞き入ってしまった
途中にエレクトリカルパレードのフレーズが混じって、ふふ、と笑う


「僕の曲は一人では再現不能とよく言われていた、のをいま再現したんですが…(拍手起きる)
これ以上どうしたって無理なので、メンバーを呼び込みたいと思います」
ということで、岸田さん、シャンソンシゲルさん、ユミコさんを呼び込み
カーテンの裏から、照明に目をやられながら出てくる男二人
イトケンさんはヨーロッパツアー中につきお休み
「前は9人とかでやっていたんですが、それはさすがに多いだろうってことで…
最近は動きやすいので5人でやってます」
ひとりひとり紹介しながら、岸田さんに「やたら背がでかくて…身長は?…2m?
…最近計ってないからわからない?」などといじる
ドラムセットが子供用のおもちゃみたいに小さなもので、
大きな体を丸めながらもいつも通りバカスカ叩く姿が素敵でした
ユミコさんのことは「メソメソちゃん」と紹介していた


「パラシュート」の前に「じゃあ、お馴染みのやつを」、
終わって「これ以上はありませんよ」
「ここまでが過去、ここからが未来です」
「2012年に地球が滅亡してしまうので、それまでにどれだけの曲を皆さんに届けられるか、
っていうね…」
らーっはーっはっはっはっ、の新曲が終わるとどっと拍手が起きる
初めて聞いた新曲も何曲か。
「これすごい良い曲だと思うんですが…(裏声で)『カッコイイ!』とかあると…」
(客から「カッコイイ!」の声がかかる)「ありがとうございます、自信がないもので」


「今までのアルバムは10曲入りだったんですが、今回・・・58曲出来てしまいまして…
どうなるかわからないんですが、もし10曲入りになったら『あっ』と思っておいてください」

アンコールで再登場すると、ユミコさんとシャンソンさんがスティック持って
ドラムの前に集まってくる
「次の曲は、3人で岸田君を叩くという…」
一人ギターを奏でるトクマルさんと、突付きあうようにしていろんな方向から
ドラムを鳴らす3人
とても微笑ましい光景、音楽は自由だ
メンバーが引っ込んでもアンコールを求める声が止まなくて、
再び出て来てくれた時にはトクマルさんも苦笑いしつつ、
「フランスでツアーした時に、今日みたいに何もできる曲がない時に編み出した技が、
『パラシュート』という曲をめちゃくちゃ早く演奏するっていう…」
ということで最後は「パラシュート」倍速バージョン、
ただでさえ複雑なトクマルさんの手元が目にも止まらぬ速さ…


曲が終わるとどおっと沸き起こる拍手!
20曲以上やっていたのに、本当にあっという間!
浸れて、沁みて、ライブが終わった後には心から一本二本棘が抜けたような気がする
風呂屋さんというシチュエーションも手伝って、とても気持ち良かったです


何も知らない常連らしきおじちゃんが石鹸とタオル持って入ってこようとして、
おかみさんに「今日はお休みよ〜」と言われて残念そうに引き返してた
地元の人に愛されてるお風呂屋さんなんだな
今度普通にお風呂入りに来たいな