火曜日嫌い

やまもとのブログです。

ROBOT COMPANY旗揚げ公演@荻窪メガバックスシアター 「ROBOT STORY〜ロボットの一生〜」

大道芸人のぞみさんを中心に設立された劇団の第一回公演に行ってきました。
荻窪駅の南口の商店街の中にある小さな劇場。


前説は大道芸人ツバサさん。はらはらします。頑張っています。
ツバサさんの出番終了後、後ろのスクリーンに映し出されていたデスクトップの
「ツバサ」フォルダがゴミ箱に…
開演前にロボ田中さんによる諸注意。スケッチブックがよれよれだ。
田中さん背高いな。細いし。
はじめに「大道芸人のぞみの軌跡」と題された、高校を出てサラリーマンとして
働いていたのぞみさんが大道芸人としてデビューするまでの顛末を、幕前で前後編。
最前列にいたので、のぞみさんが躓きやしないかと体を縮こまらせながら見上げる。
スクリーンに映し出される写真やメッセージとともに、くるくる動く。
つかまえられたお客さんがいいキャラクターだった。
最後にロボットに辿りつく。
ロボットを被る前の、あの一瞬の間が好きだ。
目の前のお客さんをしっかり見据えてから、「のぞみ」が「ロボット」に変わる瞬間。


一旦休憩を挟んで、後半はロボットのストーリーになるんだけど、
暗転中にのぞみさんが出てきて、この舞台への思い、スタッフへの気持ちを
語るうちに目が潤み始めて、堪えきれなくなって腕で顔を覆って後ろを向いて
泣き出してしまった。びっくりした。どこまで純粋なんだろう。
お客さんから「頑張れ」の声が掛かる。「頑張ってるよ!」と涙声で返す。


よくイベントで「僕は大道芸を趣味とか遊びとかでやってるわけじゃなく、
真剣にやっています」って言ってて、
誰ものぞみさんが大道芸を趣味とか遊びでやってるなんて思ってないし、
まして他の大道芸人さんだって大道芸を趣味とか遊びでやってる人なんていないと思うし、
あえてそれを言うことに意味はあるのかしらと思ったり、
たまに投げ銭を受けなかったりもするので、思想と活動形態にズレが生じたりしないのだろうかと
思ったりしたものだけど、あえて「大道芸」にこだわって「世界」を伝えようとするある種の過剰さが、好きになった部分なのかなあと思った。


本編のロボット・ストーリーはどこまでも純粋で、綺麗で、穢れがなくて、
こんなうつくしいものに私が触れてもいいのだろうかと思ってしまうぐらい真っ直ぐだった。
「純粋」とは「狂気」だと思っていた。
純粋さを突き詰めると狂気に変わってしまう。ヤンデレみたいなことで。
のぞみさん(この場合ロボット・ストーリー時の)を見ている時の空気は、
観客含め純粋過ぎて異様。その異様さに折り合いをつけてくれるのが大道芸パートだと思う
ロボットだけだったら集団催眠みたいな状態になって帰って来られなくなりそうだ。
しかもそれを狙ってやってるんじゃなくて、当人は大真面目なところが更に凄まじい。


のぞみさんの大道芸を初めて見た時、真っ直ぐ向き合えなくて思わず目を逸らしそうになった。
でもそこにしっかり向き合った時、形はないけど、形のあるものに触れたような気がしたのです。


一体の壊れたロボットの記憶を巡るストーリー。
自己犠牲、愛、死、生命、輪廻、感情、自然、幸せについて、
言葉を成さないロボットが伝えるストーリーは、拙くもやっぱり純粋で美しかった。
カーテンコールで、のぞみさんはまた泣いた。
泣きながら、「また見に来てください…!」って。あの可愛い顔で。
客席を全員ツッコミに回らせる間の持ち主。天然なんだろうか…
音楽もオリジナルだそうだ。舞台セットも衣装も照明もすごく綺麗だった。
星が本当に綺麗だった。


帰り際、演者さん全員がお見送り。
「お疲れ様でした」を伝えて、握手。
のぞみさんがすごくしっかり手を握ってくれて、目を合わせたら一気に涙がこぼれそうになったので、
振り払うようにして劇場を出た。
のぞみさんの純粋さが怖い。そして心配です。
エロとグロが介在しない世界でどこまでやっていけるのだろうか。
ありがとうございました。
とか言ってこれ全部意識してやってたらひっくり返ってますます好きになる